おはようございます、マスゴミマイラーです。
今週先週と、世間を賑わしたテレビ界のニュースといえばコレでしょう。「とんねるずのみなさんのおかげでした」の番組終了。「めちゃイケ」とともに、長くフジテレビのバラエティ番組を支えてきた長寿番組が終わるということで、感慨深いものがありますねー。僕自身も、大好きな番組でしたし、今でも攻め続けている数少ないバラエティ番組だと思います。なんだかんだいって、オリジナリティあふれるコーナーがつい最近まで生まれていたんですから。
- 食わず嫌い王決定戦
- 笑わず嫌い王決定戦
- きたな美味い店
- 全落・水楽シリーズ
- 男気じゃんけん
今現在やっているコーナーだけでも、パッと思いついただけでも他ではやっていない印象に残る企画がありますね。同じような企画がテレビ番組が多い中、これだけ異彩を放てる番組はそうありません。
自分が担当している番組が終わるというのは、制作スタッフとしてもすごく辛い経験です。僕もテレビ局員時代に何度か経験しました。そのときの実体験を書いてみようかなと…今でも悲しい思い出です(T_T) そんな話を通じて、ここまで「とんねるずのみなさんのおかげでした」がなかなか番組終了に至らなかった理由や、そのときのスタッフの苦悩が少しでも垣間見えればなと思いますー。特に自分がプロデューサーだったときに、担当番組を終わらせることは本当に大変でした…。
目次
番組終了、それは突然やってくる?
僕がテレビ局で働いていた頃に経験した自分の担当していた番組の終了は全部で3回です。意外と少ないですか? たまたま自分が担当を外れてから終わる番組が多かったというのもあって、3回しか経験していないです。1つはAD時代、1つはディレクター時代、1つはプロデューサー時代、番組が終わるという瞬間は、それぞれの立場でまったく意味合いが異なるももんです。当然といえば当然ですね!
AD時代「番組終了は会議室で知らされた」
まだ私、マスゴミマイラーが20代前半の頃の話ですね。とあるバラエティ番組Aの駆け出しのADを担当していました。日々の仕事といえば、レギュラーの会議室をパソコンでおさえ、放送作家さんやディレクターがメールで送ってくる番組資料をコピーする日々。ロケにいけば、重たい小道具や飲み物を両手にたくさん抱えながら、ディレクターの指示どおりに右往左往しては、よく怒られ、よく怒鳴られ、していましたね…懐かしいーー\(^o^)/ 正直、もう2度とあんな日々は送りたくはないですが、「いつかディレクターになりたい!」という思いだけで、がむしゃらに働けていた、ある意味眩しかった時代です。笑
そんな気がつけば1日が終わるような忙しい毎日をすごしていたある日、いつものように定例会議でプロデューサーが番組を仕切っていた時に、それは突然発表されました。
P「みなさんに残念なお知らせがございます。3ヶ月後、9月末をもって番組が終了することになりました。みなさんの頑張りがあったにも関わらず…」
僕「え…全然知らなかった…」
こんな感じです。番組の末端のADには何の情報も入らないもんです。そのときの僕の心境はというと「そうか…でも仕方ないか、決まったことだし」くらいなもんでした。もちろん、スタッフとして関わっているので番組が終わることは残念ではありましたが、心はもう「次はどの番組の担当になるんだろう…」でいっぱいでしたね。
ディレクター時代「番組終了はほぼ確定情報としてウワサが…」
続いてディレクター時代ですね。僕が20代後半の頃です。この頃には、ADを卒業してとある情報番組のいちディレクターとして毎週のようにロケにいってはVTRを作っていました。その番組には合計で20人弱のディレクターがいたんですが、番組終了の情報はまずウワサとしてまわってきました。番組が終了する半年前くらいですね。
別番組ディレクター「おい、マスゴミマイラー。聞いてる? お前が担当してる枠、どうやらBプロデューサーが中心になって、すでに次の番組企画会議始めてるらしいぞ」
僕「え、聞いてないですよ、そんな話。だって半年後に始まる企画も動いてますよ」
別番組ディレクター「いや、たぶん間違いないわ。すでに制作会社Cにも話いってるし、新番組のための放送作家も集められてるみたいよ。終わるんじゃね?」
僕「そうなんですか…」
このときの思いは、AD時代よりも多少深刻です。ADのときとは違い、「自分がVTRを作っているんだ」「タレントさんが自分のことを頼ってくれている」という日々の責任感と達成感があるからですね。ADのときのように、プロデューサーやディレクターからの指示待ちで動いていない分、担当番組への思い入れもあります。そして番組プロデューサーが、自分のVTRに出演していたタレントさんに「番組終わるんです」と告げたとき…。そのときのタレントさんの申し訳なさそうな顔は忘れられないです…。そのあとに僕に言ってくれたんです
「ごめんね、力になれなくて…」
いやいやいや!僕が悪いんです!(T_T)(T_T) もっと面白いVTRを作って、視聴率をとれればよかったんです!!(T_T)(T_T) ほんとにすいません…うわーーーーーん。・゚・(ノ∀`)・゚・。
プロデューサー時代に番組終了。初めて分かった責任…
そしてプロデューサー時代。はじめて「番組が終わる」ということの本当の意味を身をもって体感しました。AD時代やひとりのディレクターとして働いていた頃には、想像もできないほど事は重大だったんですね。とにかくまわりの大人たちがアタフタしまくる…その責任を一手に引き受けないといけないんですから。「悲しい」とか「悔しい」という感情はもちろんあるんですが、それ以上に「大変だ…」という感じです。
プロデューサーにとって、番組終了は突然やってきません。「番組終了なんてびっくりしたよー」なんていう放送局のプロデューサーは基本的にいませんね。プロデューサーは、日々視聴率とのにらめっこが待っています。放送局の中には、番組の放送枠や存続を決める、もっともパワーを持っている編成局という部署があります。この編成局の部長や局長から、自分の担当番組の視聴率がでる放送翌日に呼び出され、いろんなプレッシャーをかけられるんですね。
「数字、厳しいねー」
「このままじゃ終わるよ」
「今週中に番組改革案出してよ」
「キャスティング見直してよ」などなど…
あー思い出すだけでも辛いですねーー(^_^;) 特に最後の「キャスティング見直してよ」はなかなかに辛い言葉で、編成局のえらい人たちは出演タレントさんたちとは、そんなに密接な関係もないからドライにこんな言葉を言えちゃうんです…。でも少なからず現場のスタッフは、毎週のように顔を合わせますし、仲間意識もありますからね。プロデューサーにとっては、番組が終わることも辛いですが、番組を残したまま出演者を変更することはもっと辛いですし…。まあ、ドライな判断をする人も会社には絶対必要ですから仕方ないんですが…。
こういう言葉に日々耐えながら、なんとか番組を存続させたい、視聴率をあげたいという一心で番組を作り続けます。そして、それでも視聴率が振るわないと、ついに「ライン」をひかれます。
編成部長「来月に視聴率が2桁いかないと打ち切り。ここがラインだから」
この言葉が出ると、番組は末期の症状ということになります。言うなれば医者の余命宣告ですから。ドラマでお医者さんがよく言う「今夜がヤマでしょう」。あの一言と同じ状況です。そして、余命宣告が出た患者と同じように、この末期の状態から復活する番組はなかなかありません。設定されたラインをクリアできず、打ち切りが判断されるわけですね。ここからは僕の推測ですけれど、編成局としてはもうすでにラインを提示してくる段階で「番組を終わらせたい」という方向で決定してるんですよ。でも感情論で番組を終わらせるわけにいかない。明確な指針が欲しい。なので最後に「ライン」という判断材料で結論を出そうとしてくる。結果、このラインは「そう簡単に越えることができない」非常に高い設定(視聴率)になっていることが多くて、ほとんどの番組はこのラインを越えることができずに終わってしまうんですね。なので、この「ライン設定=死亡宣告」であることが非常に多いです。
そして、打ち切りが決定したときの感情は、ADやディレクターのときとは全く違います。ごく一部の信頼できる主要スタッフをのぞいて、ほとんど同じ番組のスタッフには相談できないまま、孤独に悔しさと悲しみを噛みしめるのです。そして想像しては、絶望するのです。これまで番組を支えてくれたスタッフ、そしていっしょに盛り上げてくれたタレントたちにこの事実を伝える瞬間を想像して…(´・ω・`)
番組打ち切りを伝える、その相手とは?
ということで、上記のようなやりとりがあって、早い番組だとおよそ1年前に、遅くとも大体2〜3か月前には「番組の打ち切り」を知ることとなります。1年前に番組打ち切りと聞いて「早っ!」とお思いの方もおられるでしょう。なぜそんなに早く打ち切りを決めないかというと、各所の調整が待っているからです。番組を終わらせるためには、今までお世話になったたくさんの人に、まずは「申し訳ない」の謝罪の気持ち、そして「ありがとう」の感謝の気持ち、さらに「今後もよろしくお願いします」の未来への思いを伝えないといけないですから。うーん、伝えないといけない…は語弊があるかもしれないですね。いっしょに番組作りを頑張ってくれた戦友たちですから、これくらいの誠意ある対応は人として、社会人として当たり前のことですよね。で、こういう思いを誰に伝えるかというと、
- スポンサー
- スタッフ
- 出演タレント
この中で、スポンサーに対しては、営業部の担当の人間が作業してくれるので、現場のプロデューサーからは基本的に特別何かがあるわけではありません。それにスポンサーは、言うても「会社と会社のお金のつながり」。きちんと説明すればなんとかなりますし、向こうも高いお金を払っても視聴率が悪い番組なら、終わってもらった方がいいわけです。放送局としては、スポンサーには今後もお金を今後も出してほしいと思っていますが、別にこの番組じゃなくてもいいんです。極端に言えば、他の番組でも、どの番組でもいい。会社同士のお金のつながりなので、ドライな交渉が可能です。
でも「スタッフ」や「タレント」はそうはいきません。特に今回のような「とんねるずのみなさんのおかげでした」そして先の「めちゃイケ」の番組終了はタレント行政的にすごく番組が終わらせづらいのです。
「おかげでした」「めちゃイケ」が終わらせにくい理由
この2つの番組には、打ち切りにしにくいある共通点が2つあるんです。それは別に特別なことではありません。マスコミ業界、テレビ業界の人間じゃなくても、少し想像すれば簡単に分かることだと思います。
長寿番組であるということ
1つ目は両方の番組が「長寿番組である」ということですね。「めちゃイケ」はおよそ21年半、「とんねるずのみなさんのおかげでした」にいたってはなんと30年も続いてきた、超長寿番組です。
「長くやってきた番組」だから打ち切りにしにくい。そういうわけではないです。「功労番組」「功労者」であるから、打ち切りにしくにくいんです。それだけ放送局に貢献してくれた番組だから終わりにくいのです。
放送局は何も特別な会社じゃないです。たとえば、長年にわたって自分の会社を支えてきてくれた下請けの工場があったとしましょう。10年前までは、この工場があったから、自分の会社は業界のトップに居続けられた。工場長もすごくいい人で、30年間来る日も来る日も、自分の会社のために頑張って働いてくれています。でもその工場の生産性が最近劣ってきた。あなたは、この工場をスパッと切ることはできますか?
すごく日本人的な考え方だと思うのですが、情が邪魔をするんです。ただただ長く続いてきている、それほど会社にとって貢献してこなかった番組ならいざしらず、「めちゃイケ」「みなさんのおかげでした」は、それぞれとんでもない視聴率を記録してきた日本を代表するオバケ番組でした。”バラエティのフジテレビ” を見事に支えてくれた番組なのです。視聴率が悪くなったらすぐに「さようなら」はやっぱりできない。当然のことだと僕は思います。
その番組にしか出ていない出演者がいる
そして2つ目の理由は「その番組にしか出ていない出演者がいる」。これが思いのほか、重要な意味を持ちます。一体どういうこと?と思ったあなたは、経営者やフリーランスとしての経験がない方なのではないでしょうか? 実際に「めちゃイケ」「みなさんのおかげでした」の出演者の中で、この番組が主な活躍の場というタレントさんをあげてみると…
他にレギュラー番組がほぼない出演者 | |
めちゃイケ | ジャルジャル、敦士、重盛さと美 |
みなさんのおかげでした | とんねるず |
めちゃイケで言うと、新メンバーの3組が「その番組にしか出ていない」出演者に当たると思います(※小さな番組や準レギュラーは除きます)。みなさんのおかげでしたで言うと、メインのとんねるずが該当しますね。こういう人たちが番組に多数いると、なぜ番組を終わらせにくいのか? 具体的なタレントさんの名前を見てみると、想像が膨らみますし、もうおわかりの方もたくさんいると思います。答えは単純、「そのタレントさんが食べていけないかもしれない」からです。食べていけないはいいすぎかもしれないですね。「あの人、テレビで見なくなったなあと思われるから」と言ってもいいかもしれません。
要はですね、言ってしまえば「そのタレントさんがかわいそうだから」ということですよ。もし「みなさんのおかげでした」のメインMCがバナナマンだったとしましょう。スパッと終われます\(^o^)/笑 なぜなら、バナナマンは他にもたくさんのレギュラー番組がありますし、すぐに新たな番組に呼ばれるでしょうから。突然給料が激減するんじゃ…なんて心配はいらないです。イメージダウンもそんなに気にしなくていい。本人たちの落ち込みもそれほどではないでしょう。でも上記のタレントさんたちは…番組を終わらせる側からすると、いろいろと気を使わないといけない人かもしれないですよね?
たとえば「めちゃイケ」の3組は、番組が終わるとしばらくはテレビ出演が激減する可能性だってあります。ましてこの3組は番組側があとから呼んだ新レギュラー。制作者として少しは責任も感じるはずです。
そしてとんねるずの2人は、これが唯一のレギュラー番組です。ギャラも相当高いとウワサされていますね。そんな2人のレギュラー番組がなくなってしまったら…。 ここからは予想ですが、とんねるずの2人にはおそらく「新たな番組」の提案があったものと思われます。これだけの功労者です。レギュラー番組がなくなってしまう、そういう状況には放送局としてもさせたくない。責任を感じます。となれば、ゴールデンタイムは無理でも、別の放送枠でいかがでしょうか?…という提案がなされることが多いんです。実際に某音楽番組がおわったとき、メインMCだった某アイドルの2人は、全然違う枠で某番組が始まりました。某某某だらけですが、ピンと来る方もいると思います(^_^;) 業界はそういうものです。無慈悲な決断は、基本くださないのです。気持ちの問題はもちろん、将来的な事務所との関係性もありますからね。(でもとんねるずクラスの大物芸人さんなら、もう番組はいいよとなるかもしれないですが…)
ちなみに、逆の考え方をするならば、今回の「みなさんのおかげでした」における「とんねるず」のような状況、つまり、ある大物タレントにとっての最後のレギュラー番組という状況は、放送局にとってはできれば避けたい状況なんです。視聴率が悪くなったときに、その番組を終わらせにくいからです。嫌な話になってしまいますが、こういう状況を避けるために、落ち目になりつつある大物タレントの番組は、他局が終わらせる前に自局の番組を終わらせようという動きもたまに見られます。うーん、世知辛い…。さすがに具体例は言えません\(^o^)/笑。
まとめ
ということで、僕の実体験も含めて、番組打ち切りとはどういうものなのかを書いてみました。何が言いたかったかというと、あの番組落ち目だなーとか、あのタレントもうダメだなーとか、そういうことでは全くありません。要はテレビ局もテレビ番組も、みなさんが想像しているよりももっと人間的なものなんだということです。誰だって、番組打ち切りにはしたくない。ましてその事実をタレントやスタッフには伝えたくない。でも組織として考えたときに、やらざるを得ないときが来る。
きっといろんな局面を経て、上記2つの番組の打ち切りは決まりました。あとは2つの番組が、どのようなフィナーレを見せてくれるのかが楽しみで仕方ありません。きっとすごい演出や仕掛けを用意してくれると期待しています。スタッフにとっては、出演者に対する最後の恩返しの場です。出演者にとっても、最後のスタッフに対する恩返しの場です。何より、スタッフにとっても出演者にとっても、応援してくれた視聴者への最後の恩返しの場なのですから。
ちなみに…そんな番組終了がきっかけで大好きになった若手女優さんとの「マイレージ」の話
ちなみに…実はボクも数々の番組終了に立ち会ってきましたが、そのときにとある若手女優さんのことが大好きになりました!そんな裏話も含めた【ある女優さんとの実話】ANAマイルを貯めないと大損! 超初心者が知っておきたいマイレージに関する7つのコト 」もよろしければどうぞ。海外旅行が大好きなのにマイルを貯めたことがないと豪語していた、とある若手女優さん。そんな彼女に「マイレージとはなんぞや」を教えた実話を元にした「初心者向けマイレージ解説」ですー\(^o^)/